「はじめての傾聴術」に学ぶ、会話における傾聴の大切さ

「はじめての傾聴術」に学ぶ、会話における傾聴の大切さ

ビジネススキルや、日常生活においても大事な要素である傾聴について、 「はじめての傾聴術」をもとにその要素や実践例を通してどう活用できるかを考えていきます。
Clock Icon2024.08.04

はじめに

こんにちは、AWS事業本部の神保です。

クラスメソッドに入社して半年が経ちました。早いものです。

入社当時の冬は家の中でコートを着て過ごしていたのですが、
夏になり今度は裸一貫で冷房を付けていても汗が出るという過酷な日々が続いています(笑)
オフィスに行くとその快適さにありがたみを感じる毎日です。

さて、私は以前より、AWSの習熟と並行し、国家資格のキャリアコンサルタントの取得のための勉強も続けていました。
そちらはつい先日試験が終わり、合否待ちというところになりますが、
本日は、その中で学んだことの1つである傾聴について少し書きたいと思います。

傾聴では相手とのコミュニケーションに傾聴を取り入れることで、相手の本音を引き出し、信頼関係を深めることができます。

こちらの書籍「はじめての傾聴術」がたいへん分かりやすく書かれており、
本記事ではそちらのエッセンスを紹介しながら、講座で学んだ事や経験を付け足していく形で案内したいと思います。
初めて聞くという方は、ぜひこの記事で興味を持っていただけると幸いです。

傾聴の概要

傾聴、ご存じでしょうか。
コーチングや、マネジメント等でなじみのある方もいるかもしれませんし、聞いたことがない方もいるかもしれませんね。

簡単に説明すると、
傾聴は、相手の話を丁寧に聞き、理解しようと努めることとなります。
これにより、相手は自分が尊重されていると感じ、信頼関係を深めることができ、また、問題解決や対話の質が向上に役立つものとなっています。

実は傾聴は、経済産業省の提唱する、「人生100年時代の社会人基礎力」という
社会人に必要な力の12の項目にも登場しており、チームで働く力として重視されています。

また、ある大手企業では、新卒採用の選考基準において、上記の12の項目のうち、
主体性や実行力に次いで上位の判断項目として採用の際に評価しているという調査結果もあります。

人間関係を含めたビジネスにとって、必要なスキルの1つであることは間違いないかと思います。

傾聴することで起こるもっといいこと

前置きが長くなりましたが、
「はじめての傾聴術」で述べられている傾聴について紹介ができればと思います。

(この書籍における傾聴は、心理学やカウンセリングとしての視点も多分に含まれており、
上記の社会人基礎力での傾聴より幅が広い意味あいが含まれるかもしれませんが、根本は同じものということでご容赦頂ければ幸いです)

まず初めに、私がこの本で非常に心に残った文章を紹介します。

”人は人間関係で傷つき、人間関係で癒されます。誰もが自分のことをわかってほしいという気持ちを強く抱いています。~中略~
だからこそ、私たちのような、人とかかわる職業の人には、傾聴が必要なのです。”

私はこの文章はとてもいいことを言っていると思っています。

ビジネスマンはことさら論理で相手を納得させることが起こりがちです。
言っていることは正しいが、納得できないという場面、ありませんか?

私たちの仕事は、多くの人と関わりで成り立っています。
同じ言葉を使い伝えているとしても、表情やふるまいで、まったく相手に伝わる情報が異なり、
そのふるまいによっては、相手は、自分の感情や気持ちを理解されていない、大切にされていないと感じることもある、と、この本でも述べられています。

またこの本では、イギリスの心理学者の調査結果として、傾聴により心の本音を語れるようになることで、自分の中の本当の思いに気づき、それを大切にしようと思うことで
ストレスが減少し、考え方が前向きになり、最終的には病気にかかる割合が減少する。
心の自然治癒力を引き出す という結果がある(調査では、ガンによる死亡率が激減した)と述べてます。すごいですね。

さらにもう1点、この本では、傾聴は夫婦関係においても重要な役割を果たすと述べています。
ある海外での調査によると、たとえ夫の収入が10万円減っても、休日に夫婦の時間が1時間増やすことができれば、妻の感じる満足度は下がらない という結果があるとのこと。

当然かもしれませんが、相手を大切にすることで、人間関係や心の持ちように大きなメリットがあるようです。

傾聴のやり方

次に、傾聴のやり方について紹介します。

といっても、傾聴は奥深いものです。
世に傾聴をテーマとしたスクールなどもあるように、テクニックですぐできるものというよりは、
毎日心がけて行うことで少しづつできるようになるものだと考えています。

ここで紹介できることは限られたことですが、傾聴へと至る道のりをイメージとして掴んでいただければと思います。

まず傾聴の方法といったときに、
一般的には、アメリカの臨床心理学者カール・ロジャースの提唱した、以下のような3要素を取り入れたものとされています。
・共感的理解
・無条件の肯定的関心
・自己一致

これだけでは少しとっつきにくい印象を受けますね。
これをこの本では、とても分かりやすい絵と表現で解説してくれています。

・共感的理解
 → 共感をもって聞く。自分が話し手になったかのように想像し、感じ、その感情を味わう。
 想像力をもって相手の体験への感情移入により相手を理解しようと努める。
 相手の意見への同意ではなく、共感。

肯定的関心
 → 黙って受け身で聞くのではなく、積極的な聞き手となる。
 ・アイコンタクト、姿勢やうなずきといった非言語的フィードバック
 ・会話の流れに沿った質問 等
 それにより、話し手が、感情のままに話せる場を提供する(沈黙も話し手のありのままの姿)

自己一致
 → 聞いている本人が、自分の心に起きていることに気づいている。素直である。
 相手にラベルを貼らず、自分の意見は横に置き、その話の心理を探る。
 理解すべきはその言葉そのものではなく、それを伝えたいと思っている話し手の心。

いかがでしょう。少し輪郭が見えてきましたでしょうか。

普段、自分の話を聞いてくれる心地のいい相手、というのを想像したとき、
その人は上記のような姿勢で聞いていてくれる、ということはありませんでしたか?

この本では上記以外にもいくつもの実践的なテクニックを紹介してくれています。
次は、さらに解像度を上げるために実践例を見てみましょう。

傾聴の実践例

実践例として、この本ではいくつかのケースにおける傾聴による受け答えの良い例、悪い例の事例が掲載されています。

・例1
<万引きを繰り返す学生に対する、面談での第一声>
 ・やりがちな対応: 世間話や、相手への批判(なんでこんなことをしたのか?等)
 ・傾聴における対応: 相手を気にかける(最近ふさぎこんでいる感じがしますが、今日はどうですか?)

前者では、自分本位で、言われたほうとしても、防衛本能や、残念な気持ちから始まるようなことが考えられます。
後者では、相手に焦点を当てて対応している対応となっており、少しづつ会話が引き出せる手掛かりになるイメージを持てます。

・例2
<学校の運営に対し文句を並び立てる親に対する面談での応答>
 やりがちな対応: 相手への指示(そんな怒らずに冷静になってください)や、自分に非は無い旨の説明
 傾聴における対応:気持ちを尊重する( ~ということがあって、~を許せないというお気持ちなんですね)

こちらも前者では、何か理由があって怒っているのに、火に油となることもあるかもしれません。
後者は、共感というクッションがあることにより、上とは少し違う展開になりそうです。

この本ではこれ以外にも、多数のケースについて紹介をされており、いずれもなるほどと思う対応例を勉強することができました。

これらを通じて私が感じたのは、いずれも共通点として、相手の気持ちを返すという点です。

相手の気持ちを尊重し、聞き手が話し手に積極的に共感の内容を伝えることで、相手は自分が尊重されていると感じ、
時には、相手自身が自分の行動や気持ちと向き合い、気づきを得る(内省といいます)ことで未来の行動が変わる可能性を秘めているのが傾聴なのだと感じました。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

私も、学んで以降、友人との会話などで相手に感情を返すということをしています。
状況の共有だけでは、一方的な理解にとどまるというところ、
感情を共有することで、より深い共感を得られることや、気づきにつながる場面もあり、今後も引き続き続けていこうと思っています。

ただ素晴らしいものである反面、傾聴は、習得にも時間のかかるものだと思っています。
たくさんの方と話し、傾聴の深みを目指していきたいと思います。

以上、AWS事業本部の神保がお届けしました。
また近いうちに、次の記事でお会いしましょう。

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